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こんにちは。歯科衛生士のLMです。

8月は気温が高く、夏の疲れが少しずつ溜まってくる季節ですね。免疫力が低下しやすいこの時期は、お口の中にもトラブルが出やすくなります。

そんな中で、「歯茎に白いできものができている」「痛くないけれど気になるふくらみがある」といった症状に気づき、不安を感じて検索されている方も多いのではないでしょうか。

この歯茎のできものは「フィステル」と呼ばれるもので、実は歯の内部で起きている感染のサインであることが少なくありません。

実際の臨床でも、「痛くないから様子を見ていた」という方がいらっしゃいますが、その内部では感染が進行しているケースは珍しくありません。

この記事では、フィステルの正体や原因、自然に治るのかどうか、そして根管治療による治し方について、わかりやすく解説します。

フィステルとは?歯茎の白いできものの正体

フィステルとは、歯茎にできる白っぽいできもの(ニキビのようなふくらみ)のことを指します。正式には「瘻孔(ろうこう)」とも呼ばれ、歯の根の先などに溜まった膿の「出口」として歯茎の表面にあらわれます。

つまりフィステルは、それ自体が病気というよりも、歯の内部で細菌感染が起きていることを示すサインなのです。

見た目の特徴としては、

  • 歯茎にできた白い、または赤みのある小さなできもの
  • 押すと膿が出ることがある
  • 痛みをともなわないことが多い

といった点が挙げられます。

痛みが少ないため放置されやすいのですが、内部では感染が続いている状態であることに注意が必要です。

フィステルができる主な原因

フィステルができる背景には、歯の内部や周囲での細菌感染があります。主な原因としては、以下のようなものが考えられます。

■ 根の先の炎症(根尖病巣)

虫歯が神経まで進行し、歯の根の先に膿が溜まることで炎症が起こります。この膿の出口としてフィステルができるケースが最も多く見られます。

■ 過去の根管治療後の再感染

一度神経の治療(根管治療)を行った歯でも、根の中に細菌が残っていたり、被せ物のすき間から再感染したりすることで、再びフィステルができることがあります。

■ 歯の破折(ひび割れ)

歯にひびが入ると、そこから細菌が侵入し、感染を起こすことがあります。

■ 重度の歯周病

歯周病が進行すると、歯茎の深い部分で炎症が起こり、膿がフィステルとしてあらわれることもあります。

このように、フィステルの原因は一つではなく、正確な診断が非常に重要になります。

フィステルは自然に治る?

患者さんが最も気になるのが、「このできものは自然に治るのか」という点だと思います。

結論からお伝えすると、フィステルが自然に治ることはほとんどありません。

一時的に膿が出て、できものが小さくなったり消えたように見えることはあります。しかし、これは膿が排出されただけで、原因となっている歯の内部の感染が解決したわけではありません。

実際の臨床でも、「小さくなったから治ったと思っていた」という方が、しばらくしてから再び腫れて来院されるケースは少なくありません。

膿が出たり止まったりを繰り返している状態は、内部で感染が続いているサインだと考えることが大切です。

フィステルを放置するとどうなる?

痛みが少ないフィステルですが、放置することでさまざまなリスクにつながる可能性があります。

  • 感染が骨の奥へと広がる
  • 顎の骨が溶けてしまう
  • 腫れや強い痛みが再発する
  • 歯を支える組織が失われる
  • 最終的に抜歯が必要になる

特に注意したいのが、骨への影響です。感染が長く続くと、歯を支えている骨が少しずつ溶けてしまい、治療が難しくなることがあります。

「痛くないから大丈夫」という判断が、結果的に歯を失うことにつながってしまうケースもあるため、早めの対応が重要です。

フィステルの治療法

フィステルの治療では、まず原因を正確に特定することが第一歩となります。歯科医院では、以下のような検査を行います。

  • レントゲン検査(根の先の状態や骨の吸収を確認)
  • 視診・触診
  • 必要に応じたCT検査

原因に応じて、治療法は大きく変わります。

■ 根管治療(神経の治療)

フィステルの原因が根の先の感染である場合、根管治療が中心となります。感染した神経や膿を取り除き、根の内部を消毒して、細菌をできるだけ減らしていく処置です。

一度治療した歯であれば、以前の材料を取り除いてから再度清掃・消毒する「再根管治療」を行うこともあります。

■ 外科的な処置

根管治療だけでは改善が難しい場合、歯根の先を外科的に処置する方法(歯根端切除術など)が検討されることもあります。

■ 抜歯

歯の破折が大きい場合や、感染が広範囲に及んでいる場合には、やむを得ず抜歯が必要になることもあります。

どの治療が適しているかは、歯の状態によって異なるため、診査・診断のうえで判断していきます。

根管治療でフィステルは治る?

多くの場合、原因に対して適切な根管治療を行うことで、フィステルの改善が期待できます。

根の中の細菌をしっかり取り除き、感染をコントロールできれば、膿の出口であったフィステルも自然と閉じていきます。実際の臨床でも、原因となる感染が落ち着くことで、できものが目立たなくなっていくケースは多く見られます。

ただし、改善までにかかる期間には個人差があり、歯の状態によって経過が異なります。焦らず段階的に治療を進めることが、結果的に歯を残すことにつながります。

「潰して膿を出せば治る」は危険

フィステルを見つけたときに、「自分で潰して膿を出せば治るのでは」と考える方もいらっしゃいますが、これはおすすめできません。

膿を出しても原因が解決するわけではなく、かえって細菌を広げてしまったり、傷から新たな感染を起こしてしまう可能性があります。

気になるからといって無理に触らず、歯科医院で原因に対する適切な処置を受けることが大切です。

こんな症状があれば早めに受診を

以下のような場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 歯茎に白いできものがある
  • できものが出たり消えたりを繰り返している
  • 押すと膿のようなものが出る
  • 過去に神経の治療をした歯の近くに違和感がある
  • 歯茎が腫れている

特に、「痛みはないけれど気になるできものがある」という場合こそ、早めの確認が重要です。

早めに受診するメリット

早い段階で対応することで、

  • 治療の選択肢が広がる
  • 歯を残せる可能性が高くなる
  • 腫れや強い痛みを防げる
  • 骨への影響を最小限に抑えられる

といったメリットがあります。

逆に、放置することで感染が広がると、治療が大きくなり、抜歯のリスクも高まってしまいます。

よくあるご質問

Q. フィステルは痛くないのですが、放置しても大丈夫ですか?

痛みがなくても、内部では感染が続いている状態です。自然に治ることはほとんどないため、早めに歯科医院での確認をおすすめします。

Q. フィステルは自然に消えることがありますか?

膿が排出されて一時的に小さくなることはありますが、原因が解決したわけではありません。繰り返し出てくる場合は、内部の感染が続いているサインです。

Q. 根管治療をすれば必ず治りますか?

多くの場合は改善が期待できますが、歯の状態によっては外科的な処置や、やむを得ず抜歯が必要になることもあります。まずは正確な診断を受けることが大切です。

Q. フィステルを自分で潰してもいいですか?

おすすめできません。細菌を広げたり、新たな感染を招く可能性があります。触らずに歯科医院を受診してください。

まとめ

歯茎にできるフィステルは、歯の内部で細菌感染が起きていることを知らせる重要なサインです。

自然に治ることは少なく、放置すると感染が広がり、最終的には抜歯が必要になってしまうこともあります。

大切なのは、痛みの有無だけで判断しないことです。

「痛くないから」「小さくなったから」と様子を見てしまうのではなく、できものに気づいた時点で確認することが、歯を守る一番確実な方法です。

気になる症状がある場合は、無理に我慢せず、お気軽にご相談ください。