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こんにちは、歯科衛生士のLMです。

5月はゴールデンウィークもあり、お出かけや外食の機会が増える季節ですね。生活リズムが少し変わったり、外出先で歯磨きの時間が不規則になったりすることで、お口の中の環境も変化しやすい時期でもあります。

そんな中で、「矯正中なのに虫歯ができてしまったかもしれない」「もし虫歯になったら、このまま矯正を続けて大丈夫なのかな?」と不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

矯正中は装置が付いているため、通常よりも歯磨きが難しく、虫歯のリスクが高くなる状態です。実際の臨床でも、ご自身では「丁寧に」磨いているつもりでも、装置が邪魔をして磨き残しが出てしまい、虫歯ができてしまったというケースは少なくありません。

この記事では、矯正中に虫歯ができる原因、万が一できてしまった時の対処法、そしてこれ以上進行させないための予防方法について、歯科衛生士の視点から詳しく解説します。

矯正中はなぜ虫歯になりやすい?

結論からお伝えすると、残念ながら矯正中は通常よりも虫歯になりやすい状態と言えます。その理由は、大きく分けて「装置の形状」と「お口の環境の変化」にあります。

装置が「汚れの溜まり場」になる

ワイヤー矯正の場合、歯の表面に「ブラケット」という器具を固定し、そこに「ワイヤー」を通します。この複雑な構造が、食べかすやプラーク(歯垢)を捕まえる網のような役割を果たしてしまいます。特にワイヤーの下やブラケットの周囲は歯ブラシが届きにくく、汚れが「不十分」な清掃のまま放置されがちです。

自浄作用が働きにくい

本来、お口の中は唾液によって汚れを洗い流す「自浄作用」が働いています。しかし、装置が装着されていることで唾液の流れが遮られ、特定の場所に汚れが留まりやすくなります。

マウスピース矯正特有のリスク

近年人気の「マウスピース矯正」も例外ではありません。マウスピースを装着したまま糖分の含まれる飲み物を飲んだり、食後の歯磨きが不十分なまま装着したりすると、歯が常に酸や糖にさらされることになり、急速に虫歯が進行する可能性があります。

矯正中に虫歯ができる主な原因

矯正中に虫歯を引き起こす要因は、単なる「磨き残し」だけではありません。以下の複数の要因が重なることでリスクが高まります。

清掃不良と「見つかりにくい」虫歯

装置の影や、歯と歯の間にできる虫歯は非常に見つかりにくいのが特徴です。自分では気づかないうちに進行し、痛みが出てから発覚することも少なくありません。

間食の増加と「お口の酸性化」

休日などで食事の回数が増えると、お口の中が酸性に傾く時間が長くなります。歯の表面が溶け出す「脱灰(だっかい)」が進み、再石灰化が追いつかなくなると虫歯になります。

唾液の質の低下

ストレスや水分不足、口呼吸などによって唾液の分泌量が減ると、お口を中性に戻す力が弱まり、虫歯菌が活動しやすい環境になってしまいます。

矯正中に虫歯ができたらどうする?治療の流れ

「虫歯かも?」と思ったら、まずは速やかに担当の歯科医師に相談することが大切です。治療は以下のステップで進められます。

ステップ1:精密なチェックと診断

レントゲン撮影や目視で、虫歯の進行度を正確に診断します。矯正中の虫歯は装置が重なっている部分にできやすいため、慎重な確認が必要です。

ステップ2:治療優先か、矯正継続かの判断

虫歯の程度によって、今後のステップが変わります。

  • 軽度の虫歯(C0〜C1): フッ素塗布やブラッシング指導で経過観察を行いながら、矯正治療を優先します。
  • 中等度以上の虫歯(C2〜): 虫歯部分を削り、詰め物をする治療が必要です。
  • 重度の虫歯: 神経まで達している場合は、根管治療が必要になります。

ステップ3:装置の「一時外し」と処置

虫歯の位置が装置のすぐ近くだったり、処置の邪魔になったりする場合は、一時的にワイヤーやブラケットを外して治療を行います。治療が終わった後に、再度装置を調整して再装着します。

矯正治療を中断する必要はある?

患者さんが最も心配されるのが「治療の中断」や「期間の延期」についてです。

原則として、小さな虫歯であれば矯正治療と並行して処置が可能です。しかし、大きな虫歯や根の治療が必要な場合は、歯を動かすことよりも虫歯治療を優先しなければなりません。

無理に矯正を進めてしまうと、歯の土台そのものが悪化し、最終的な歯並びの仕上がりにも悪影響を及ぼす「本末転倒」な結果になりかねません。そのため、一般歯科での診療と、矯正歯科の連携が非常に重要になります。

虫歯を放置することの最大のリスク

「まだ痛くないから大丈夫」と放置するのは禁物です。矯正中の虫歯放置には、以下のような特有のリスクがあります。

  • 矯正期間が大幅に延びる: 装置を外して大がかりな治療が必要になると、その分、理想の歯並びになるまでの期間が長引きます。
  • 追加費用が発生する: 装置の再製作や再装着が必要になった場合、別途費用がかかるクリニックもあります。
  • 歯の寿命を縮める: 矯正でせっかく歯並びを整えても、歯そのものがボロボロになっては意味がありません。

歯科衛生士直伝!矯正中の虫歯を予防する方法

虫歯のリスクを最小限に抑え、スムーズに矯正を進めるためには、日々のセルフケアの質を上げることが一番の近道です。

1. 専用の「器具」を使いこなす

通常の歯ブラシだけでは、装置の隙間の汚れを落とすのは困難です。以下のアイテムを併用しましょう。

  • ワンタフトブラシ: ブラケットの周りや奥歯の溝をピンポイントで磨けます。
  • 歯間ブラシ・矯正用フロス: 歯と歯の間の汚れを落とします。
  • フッ素配合ジェル・洗口液: 歯の再石灰化を助け、酸に強い歯を作ります。

2. 磨く「順番」を決めて、磨き残しゼロへ

あちこちランダムに磨くと必ず磨き残しが出ます。「右上の奥から順に」など、自分なりのルールを決め、鏡を見ながら丁寧に磨く習慣をつけましょう。

3. プロによる定期的なクリーニング

歯科医院での「プロフェッショナルケア」は欠かせません。自分では落としきれない汚れを除去し、初期の虫歯がないか定期的にチェックを受けることで、早期発見・早期治療が可能になります。

まとめ

矯正中は、装置があることでどうしても虫歯のリスクが高まってしまいます。しかし、適切なケアと定期的なチェックを行えば、過度に怖がる必要はありません。

大切なのは、

  • 「少ししみる」「色が白っぽくなった」などの違和感を見逃さないこと
  • 気になったらすぐに歯科医師や歯科衛生士に相談すること

この2点です。

私たちは、皆さんが健康な歯を保ちながら、自信の持てる美しい笑顔を手に入れられるようサポートしたいと考えています。矯正治療に関する不安や、磨き方のコツなど、気になることがあればいつでもお気軽にご相談くださいね。

共に頑張って、最高のゴールを目指しましょう!

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